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遺伝子破壊マウス事業 抗体事業
抗体の応用分野

 人間の体には、ウイルスや細菌など外来の異物(これを「抗原」という)が入ってきた時に、抵抗して体を防御しようとする機能(これを「免疫」という)があります。この免疫機能に関して中心的な役割を担っているのが「抗体」です。

 抗体は、抗原に結合し、抗原の毒性を弱めたり、抗原を消化・殺菌する好中球やマクロファージを助ける働きがあります。

 抗体は抗原と結合する特徴があることから、次のような分野で応用されております。

1.基礎研究用試薬
 ヒトの体は約10万種類以上のタンパク質で構成されております。タンパク質は、体の中での物質の合成、分解、エネルギー転換など重要な活動を支えておりますが、まだその機能については未知のものがたくさんあります。

 抗体は、基盤研究を行う研究機関等において、病気の原因と考えられる異常なタンパク質の有無、タンパク質の量、タンパク質が蓄積されている場所などを検索して、そのタンパク質の機能を解析するための試薬(これを「基礎研究用試薬」という)として使われております。

抗ヒトAurora-A抗体が目的のタンパク質と結合
(統合部分を黄色に染色)

2.臨床診断薬
 病院などの医療機関では、病気の診断や早期発見を目的として、患者や健常者の血液、尿などを用いて、免疫血清検査、生化学検査等(これを「臨床検査」という)を行っております。抗体は、これらの検査に使用される試薬(これを「臨床診断薬」という)として使われております。

3.抗体医薬品
 ヒト遺伝子の配列が完全解読され、遺伝子の機能が徐々に解明されてきたことにより、抗体を利用した医薬品の開発が可能となり、がん治療などに用いられるようになってきました(これを「抗体医薬品」という)。抗体医薬品はこれまで治療が難しいといわれた病気の克服に応用され、副作用の低減につながると期待されております。

 

 

当社の抗体事業

 当社の抗体事業では、抗体の応用分野のうち基礎研究用試薬を事業領域としており、事業としては、1.抗体製品の開発、製造および販売、2.抗体の作製受託を実施しております。

1.抗体製品の開発、製造および販売
 当社はこれまで、大学や製薬会社等からタンパク質あるいはタンパク質情報の提供を受け、種々のポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製してまいりました。これらを製品化し、代理店を通じて大学や製薬会社等へ販売しております。

当社の抗体製品分類の一例

環境関連抗体
 ビテロジェニンと呼ばれる内分泌撹乱(環境ホルモン)の指標物質に対する抗体です。この抗体を用いて、河川の汚染状況を把握するためにコイ、メダカのビテロジェニンを測定するキットや、鳥類のビテロジェニンを測定するキットを販売しております。

AGEs関連抗体
 Advanced Glycation End Products)という主に糖尿病、動脈硬化症などの指標となる糖化タンパクに対する抗体です。老化自体や老化に伴う慢性疾患にもAGEが深く関与していることがわかってきており、これらの研究にも有用な試薬です。
マクロファージ関連抗体
 マクロファージは、生体内に外部から侵入した細菌などの異物を取り込んで消化する細胞です。生体内で生体防御や種々の炎症に深く関与していることがわかっており、主に動脈硬化症患者などにおけるマクロファージの関与を研究するための試薬です。
アミノ酸トランスポーター関連抗体
 薬物トランスポーターと呼ばれる生体内への薬物(異物)の取り込みおよび生体内からの排泄機能を担う膜タンパク質に対する抗体です。薬物トランスポーターの一部は、癌細胞に高頻度に発現することがわかってきており、それらの研究に有用な試薬です。

 また、大学と共同し、国が新規技術の開発等を支援する目的で実施しているプロジェクトに応募し、採択を受けております。これにより得られた研究成果をもとに、事業化や商品化に取り組み、成果を上げております。
 その中で誕生した主力製品として、癌患者の尿中に多く排泄されるポリアミンの一種であるジアセチルスペルミン量を測定する「尿中ジアセチルスペルミン測定用ELISAキット(基礎研究用試薬)」があります。

尿中ジアセチルスペルミン測定用ELISAキット

現在までに実施した主なプロジェクト
平成11・12年度 課題対応新技術開発事業採択プロジェクト
  「アミノ酸トランスポーターをターゲットとした癌診断薬の開発」製品化

平成13年度 補正即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業採択プロジェクト
  「遺伝子変異解析と尿中癌マーカーの測定による新しい癌診断キットの開発」製品化

平成15年度 マッチングファンド方式による産学官連携研究開発事業
  「高親和性抗体産出GANP遺伝子導入マウスを用いた抗体医薬創出の基盤技術の確立」事業化

2. 抗体の作製受託
 大学や製薬会社等に対して、モノクローナル抗体の作製を受託しております。

Q.ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の違いは?

 あるタンパク質(抗原)をマウスやウサギなどの動物に注射すると、その1つの抗原に対して、いくつもの抗体ができます。その抗体を血液から採取したものを「ポリクローナル抗体」と呼びます。ポリクローナル抗体の作製は比較的容易ですが、いくつもの抗体の中から特定の抗体だけを効率よく、大量に得ることが難しいという問題があります。

 この問題を解決するために、抗原の中のある特定の部位だけに結合する、単一な「モノクローナル抗体」を作製する方法が確立されました。モノクローナル抗体を用いることにより、特異性の高い診断薬や治療薬などに応用されることが可能となりました。一例として、癌細胞(標的細胞)だけを集中的に攻撃するミサイル療法が試みられております。

 

 

抗体事業の新たな取組み 〜GANPプロジェクト〜

 当社と大学との共同研究成果や、大学等が有するシーズが事業化につながるケースがあります。こうした取組みの一つに、「GANPプロジェクト」があります。

高付加価値な事業分野としての「GANPプロジェクト」
(GANP:germinal center associated nuclear proteinの略)

 GANPプロジェクトは、熊本大学の阪口薫雄教授らが発明したGANP遺伝子の改変動物を用いた高親和性抗体の産生技術を基に、当社と共同研究を実施したものであります。平成16年3月には、当プロジェクトを事業化することを目的に株式会社イムノキックが設立され、当社も出資いたしました。また、当社は、同社より本技術に関する特許の独占的な実施権(生産、使用、販売等)を取得いたしました。

 この技術を用いると、これまで作製が困難であった抗原に対して、親和性が高いモノクローナル抗体を産生することができる可能性があり、付加価値の高いビジネスが展開できると期待しております。

 GANPプロジェクトでは、次の二つのビジネスを推し進めてまいります。
  1. 既存抗体を高親和性化したり、作製困難とされる抗原の抗体を作製するビジネス。
  2. 抗体医薬の開発に取り組んでいる製薬会社や研究機関等に対し、本技術のサブライセンス許諾や、共同開発を行うビジネス。

 

 

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